2012年12月29日

民謡の魅力、文化としての良さ

民謡指導者としての年月を振り返ってみますと、
唄は、祖母の代稽古のときから数えて34年、
太鼓は30年、三味線は15年となります(※2012年時点)。


その中で、小さな子どもさんから、自分より年上の方まで、
たくさんのお弟子さんを見てまいりました。

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(NHKホールの舞台にて。中央で唄わせていただいているのが私です)

民謡指導の経験の中で、私なりに思う民謡のよさや、
民謡をやっていてよかったと感じることを一言でいうならば、それは
「いろんな世代の人と、家族のように触れ合えること」だと思います。


核家族が進んでいるといわれる中で
世代の離れた人と接する機会は少なくなっているようですが、
民謡界には小さなお子様からご年配の方まで、幅広くいらっしゃいます。
ですから、いろんな人からいろんなことを教えてもらえる機会が多いですね。

どんなことを学べるかといいますと、わかりやすいところでは、
ていねいで気持ちのこもった挨拶の仕方が身についてきます。
最近では「おはようございます」や「こんにちは」の挨拶を
しっかりできない人が増えていると聞きます。
お稽古を通して唄や三味線が上達することも、もちろん大事なのですが
まずは人として、きちんとした挨拶を身につけ実践できることを
大切にしたいなあと思っています。

それから、たとえば集団の中にいたときに、もし自分が一番若ければ
率先して周りの人にお茶を淹れたり、気を配るなどといった
昔ながらの「場の役割分担」、自然なたしなみも身についてきます。
場の空気を読んで、その場にあった振る舞いができるということは、
ふだんの生活の中でも大きな宝物になると思うのです。

それから、「唄としての民謡の良さ」について考えてみると…

お弟子さんたちからよくいわれるのは、
民謡のテレビを見たりラジオを聴いたり、
催しに行くのがとても楽しくなってくるそうです。

たとえば物産展に行ったら、
それまではほとんど気にならなかったBGMが
「あっ、これはソーラン節だ」「これは北海本唄だ」などと、
フッと耳に入ってくるようになります。
自分が習った唄や、思い入れのある唄が聞こえてくると
それだけでとても楽しくなるものですよね。


それから旅行に行っても、
今まではまったく気にならなかったような地名でも
「ここが鯵ヶ沢だ!」「紅葉の天童で有名な天童市って、ここなんだ!」
と気づいて、意外と、ものすごく感動するものです(笑)。

特に北海道の『道南口説』は、電車に乗っていると
出てくる地名と唄の地名の順番が一致しているので、
「本当に唄の通りなんだ!」というのがわかって面白いものです。
そういう意味でも、日本の文化や風土により深く触れられる民謡は
日本人の教養として、身に着けておくと得だと思います。


さらに、民謡の世界では、舞台に出るときには
もちろん着物をお衣装としてつけるのですが、
現代では日本人でありながら
着物を自分で着られない人がとても多いのです。
けれど芸事をやっていれば
着物や和の文化に触れる機会は多くなるわけですから、
着物の着方や小物の合わせ方なども自然と上手になってきます。


Scan10003.JPG
(太鼓を演奏中。舞台に合わせて着物や小物を考えるのは楽しいものです)

芸事そのものだけを磨くのではなく、
芸事の周辺の要素も一つずつ身につけて、体で覚えていくことが、
将来の役に立つのではないかなあと思います。

そもそも日本人は、日本のことをやらなさすぎなんですよね(笑)。
日本には素晴らしい文化がたくさんあります。
民謡もその一つです。
日本人の習いごとのひとつとして、民謡がまた復活してくれば
とても素敵だなあと思います。また民謡人としてそれを願っています。

posted by 駒和美 at 00:30 | TrackBack(0) | 民謡を伝えていくということ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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